【磨く、駆ける、時々すべる~ホテル客室清掃記録~】vol.3客室清掃の旅レポート

過去投稿分(2016年12月~2023年12月)
この記事は約3分で読めます。

へっぽこ村娘えみすけは、ベテラン戦士たちと共に冒険の旅(客室清掃)に出た。今回はある日の冒険の様子をお伝えしよう。

結露の攻撃から身を守れ
働いたホテルは主な客層が家族だった。お客様にとってはせっかくの家族旅行で泊まるホテル。窓からの眺めも売りのひとつだから、景色がよく見えるように、陽光がたくさん降り注ぐように、大きく設計してある。

その大きな窓は、冬には結露というモンスターとなって襲いかかってくる。窓枠に落ちた水滴たちは水たまりへと進化を遂げる。清掃持ち時間45分というヒットポイント(HP)を削ってくるモンスターだ。身を守るには戦わなくてはいけない。てってけてー。

結露の攻撃! 5ポイントのダメージ!清掃時間が削られた。
えみすけの攻撃! タオルと水切りワイパーを使って結露を拭き取った。
結露の攻撃! 2ポイントのダメージ!窓の上部に小さな水滴が残っていた!
えみすけの攻撃! 結露を拭き取り、乾拭きで窓を拭いた。結露は断末魔の悲鳴をあげて綺麗になった。
勝利!

えみすけは結露のついていない窓を手に入れた。
経験値を手に入れた。
湿って汚れたタオルと濡れた水切りワイパーを手に入れた。
清掃はまったく終わっていない。

ヒカリあれ!ヒカリあれ?
「おお、えみすけよ、時間だけ喰って清掃が終わっていないとはなにごとだ⁉️(今日は5部屋だよね?今何時?ペース配分考えな)」
と心の神官(先輩)に責められながら清掃(旅)を続ける中でやっかいなのはヒカリモノ。

水回りは難所だ。洗面台の鏡に加えて、洗面蛇口や排水溝まわりのステンレス、シャワーヘッドなどの光る部分は部屋の印象を左右する大事な箇所で、チェックも厳しい。

特に排水溝と鏡は確認する角度に工夫が必要になる。キラリとお客様の全身を写す鏡(姿見)の汚れを正面確認するのは難しい。斜め下から見て照明を通さないと汚れに気づけない。ステンレスの輝く排水溝はカップ麺の麺や具がひっかかっている場合があり、上から目線ではわからない。顔を近づけ、覗き込むようにして確認しなければいけない。

それでもうっかりすると「えみすけさん、◯◯号室清掃し直し!」「はーい(うわー、面倒だー。でもやらなきゃー)」となる。
ヒカリあれ!というよりもこちらはヒカリあれー?。とほほである。

最強にして最後のボス、その名は客室担当者
清掃が終わった部屋に掃除機をかけて、点検して終了となれば、次に担当する部屋に向かう。しかし、本当の冒険(清掃)は終わりではない。客室担当者のチェックが入る。

お客様が入れる商品としての部屋にするべく、チェックはど厳しい。細かくスピーディーにこなしていく。落ちていた髪の毛の本数、子供用のベッドガード(ベッドから転落するのを防ぐガード)の上の埃、バスタオルの重ね方の不備にいたるまで見逃さない。

厳しい。けど、その上にはじめて快適なサービスが成り立つ。チェックをかいくぐり続け、ようやくクリア(担当部屋の清掃終了)となる。

えみすけは冒険をクリア(終了)した。
経験値が増えた。
三角布の下の髪は汗でボサボサになっていた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました