デザインのひきだし40と魔胎伝ノア

過去投稿分(2016年12月~2023年12月)
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いままで名刺らしい名刺を持っていなかったので、思い切って作ることにした。オンライン・テレワークが一気に台頭して、デジタル名刺が主流になる世の中の流れで、紙の名刺が果たす役割ってなんだろうと思う。

校正の仕事も紙に直接赤を入れて直すのが当たり前だったためか、紙自体に愛着がある。なんとか、これからも紙の文化は残り続けて欲しい。何回も繰り返し読んだ本のページのしんなりする感触だとか、美術館で買ったポストカードが使われないままに挟んであったとか、カバーがちょっと折れちゃってショックだったとか、そういう経験は紙独自のものだと思う。

何を残していきたいのかと考えれば、それは「紙だからできる経験」を繋げていきたい。

せっかく紙の名刺も作るなら、渡した相手に少しでも「おもしろい」と思ってもらえる、印象に残るものにしたい。そもそも人とリアルで会うこと自体が今までより貴重になるだろう。その中で出会った人に名刺を渡すのだから、ここは力を入れたい。そんな時に「デザインのひきだし40」を購入した。

実物の名刺・カードに使える特殊印刷・紙・加工サンプルがバーンと50枚も付録としてついている。しかも本体の背には糊が見えた状態。不良品ではなくて、わざとそうしている。

商品として完成させるまでの労力とかこだわりとかカードのホログラム加工、箔押し、エンボス・デボス加工、メタリック加工、もうありとあらゆる加工のオンパレード。だいすき。もう完敗です。素晴らしすぎる。そのこだわりに乾杯。


甲乙などつけられない中で、個人的にひっかかったカードたちはことごとく光沢や箔押しやキラキラ加工だった。

なんでこんなに光ったものが好きなんだろう……とか考えたら。


「魔胎伝ノア」

 

「魔胎伝ノア」にたどり着きました。世代バレするけど、昔むかし、ビックリマンチョコというのがありまして。
今もあるけど、学校に通う子どもたちの間でビックリマンチョコについているシールを集めるのが大流行りした時代があったんですね。
筋肉マンの消しゴム、通称キンケシのちょっと後くらいかな。今も昔もコンプリートするのが子どもはだいすき。

ビックリマンシールには天使、悪魔、お守りとそれぞれのジャンルがあるのです。その中でヘッドと呼ばれるめっちゃ強いキャラクターがいて、シールを集める目的はこのヘッドのシールでした。そのシールをどれくらいもっているか、シールを何枚もっているかが子供の間のステータスだったんです。

そして一度だけヘッドのシールを当てたことがあったんです。それが魔胎伝ノアという敵キャラのヘッドでした。今から思えば思いっきり新約聖書やノアの箱船が元ネタなんだとわかるけど、当時はそんなこと知るはずもなくて。

なんといっても、ヘッドのシールは他のジャンルのシールとは全然ちがう。キラッキラのホログラム加工なんですよ。キラキラしたシールをずっと眺めていた覚えがあります。すなわち。

 

好みが小学生の時から変わっていない(爆)


いいんだ。いいんだ。それでいいんだ。好き嫌いなんてそんなに変わらないもんだ。

あのホログラムのキラキラシールを引き当てて楽しかったり、ワクワクした感じを名刺に持っていこう。たとえ名刺を交換しただけに終わったとしても、なんか面白いカードだな、なんか綺麗なカードだな。そう思ってもらえるような名刺を目指そう。「なんか」は余白だ。余白がないなら窮屈で面白くない。

今回は中身ももちろんだけど、特に編集後記がこのコロナの中での編集作業にあたっての葛藤やそれでも自分にできることに取り組もうとするひたむきな気持ちが書かれており、読むと自分もはりきろうと思えるものでした。この姿勢があっての、デザインのひきだし40号なんだなと思う。

特に回し者ではないけど、興味があればぜひデザインのひきだしを手に取ってみて欲しい。

すごい特殊印刷の技術を開発・継承してくださる職人堅気のみなさん、そしてデザインのひきだしを編集・発行してくださるみなさんに敬意を示しつつ。なんか面白い、なんか綺麗な名刺を作ってもらうべく、進めようと思う。

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