(食事中に読まないでね!)大腸内視鏡検査で食欲魔神が訪れた

過去投稿分(2016年12月~2023年12月)
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はじめに

母親の大腸内視鏡検査に付き添ってきました。
昨年受診した検査がきっかけとなり手術を受けた母。
経過観察の時期が来たのです。

「一人で受けるのは怖くていやだから一緒に来てほしい」。
母親の大腸は母親のもの。私がそばにいたとしてもできることは少ない。

父親もいるのになあ。
仕事もたまっているのになあ。自分の都合ばかり浮かびました。それでも突き放すわけにもいきません。昨年受けて痛かったときの記憶がこびりついているとのこと。
弟たちもいますが、仕事の時間を自分で決められるのは私だけ。
ということで、大腸内視鏡検査のレポートです。

 

*****注意!ここからは食事中には口に出せない状況や言葉が出てきます。平気ですって方だけスクロールしてくださいな****

 

9時までに病院へ。地域医療を担う総合病院で、外来棟、第一病棟、第二病棟の3棟の建物が連なっている。
各個人病院では担いきれない病状の患者を受け持っていて、母も昨年、かかりつけの医者から紹介状をもらったのがきっかけで来院。

9時5分。あごの引き締まったきりっとした看護師さんが検査の内容説明と注意点を説明してくれる。さわやかで清潔な雰囲気。検査を受けるのは母親を含めて6人。検査は以下のようにおこなわれるとのことだった。

 

スケジュール説明
・名前を確認してから、ニフレック(腸内洗浄液)を紙コッ
プに注ぐ。並々と入れてから一口飲んでみる。
・最初の一杯は15分かけて飲む。二杯目以降は10分が目安。
・全2リットル。半分の1リットルを飲み干す時間の目安は1時間。2時間をかけて2リットルを飲む計算になる。
・便意をもよおしたらトイレにいき、その都度状態を確認する。
早く飲み過ぎても遅く飲み過ぎても排泄はしにくい。
・どれくらい洗浄が進んだのか色で確認する。全5段階。
(説明用のサンプル写真が印刷されたマニュアルがある)
・3段階目の色になって以降は排便の都度、ナースコールを押して、看護師に確認してもらう。
・5段階目で検査準備完了。
・13時くらいから内視鏡検査を予定している。

 


風味氏、味が気に入らない
「しかし、なんとかならないのかな。この味」
男性がぼやく。味が気に入らないらしい。
検査とはいえ、まずいと思うものを飲み続けるの
は大変だ。
「私も何回か飲んでますが美味しいですよ。」
風味氏(仮名)のつぶやきを聞いて、別の男性も感想を述べる。

美味しいですよ、に一同苦笑。やっぱりそういう味なんだろう。
「美味しいと思えば美味しい。スポーツドリンクみたいで」
「それを想像して飲むと味が・・・」
やんわりと看護師さんがいい添える。
スポーツ氏は男性は今日、上部(胃)と下部(大腸)の内視鏡検査を受けるとのことだった。想像しただけで大変だ。検査を受けるといっても状況は人によって全然ちがう。

看護師さんは本当に忙しい。医大の付属病院なので、学生も研修として同席している。お団子に頭を結った学生たちが先輩看護師の説明を一生懸命にメモしていた。

 


ニフ友とぼっち
当初怖いからと不安で一杯になっていた母だったけど、一緒に検査を受ける人がいること、看護師さんが優しいことで安心したらしい。(ちなみに洗浄液は美味しいと思えるらしい)
私には20分おきぐらいに来て欲しいとのことだったので、席を外した。
できることもない。仕事の書類も持ってきていたけど、20分おきぐらいに検査室に戻るので、時間が中途半端だ。

困りながらもぶらつくことにする。
「トレッドミル」
「ホルター心電図」
総合病院なので院内の案内図には見慣れない単語ばかりが並んでいる。平日昼間の時間帯のこともあり、患者は年齢が高い人たちばかりだった。

戻ると母はさっきよりもさらに表情が明るかった。隣に座っていたスレンダーな中年女性と仲良くなったらしい。
「私(大腸内視鏡検査)6回目です」
「わたし2回目です」
ニフレックを何回も飲んでいる人同士の会話だった。ニ
フ友の誕生だ。話す相手ができたからちっとも寂しくないとのことだった。
それとは別に20分おきくらいに来て欲しいらしい。

寂しくないんじゃなかったのかい。

引き続きぼっちでふらふら歩くことにする。し、仕事が。

 


繰り返しのおつきあい
母親は今回、麻酔をかけながらの大腸内視鏡検査になる。
昨年内視鏡を受けた時、痛くて苦しんだ。そこで今回は麻酔をかけての検査に変えている。
腸内洗浄液を飲みつつも、看護師さんから個別の説明を受けていた。不安になる母に何度も粘りつよく説明をしている。看護師さんには本当に頭が下がる。

・眠たくなるので、うとうとしながら内視鏡検査を受けてもらう状態
・全身麻酔ではなく、本当に睡眠という感じ
・麻酔科の先生がいるわけではないので、意識がなくなってしまうような強い薬は使えない

今後も数年は定期的な検査が必要であり、来年も再来年もきっと受けにくるんだろう。私もまたつきそうのかもしれない。
こういう気持ちをなんと名前をつければいいかわからない。とにもかくにも目の前の検査をクリアしていく必要があった。

 


91歳姉御の潔白
何度目かに検査室へ行くとナースコールがなんども鳴り響いていた。
検査室用のトイレなので使用している時は赤ランプが点灯する仕様になっている。3/8拍子のメロディーが流れ続けている。
みんな何回もトイレと洗浄液を飲むことの繰り返し。げっそりしている。

「誰だこんなまずいものを作ったやつ」
風味氏が怒っていた。やっぱり味が気に入らないのだ。
いつのまにか風味氏の紙コップにストローが刺してある。

怒っていたのは風味氏だけではなかった。

「ひどい!」
91歳の女性が嘆いている。
「私はなにもわるいことしていないのに、なんでこんな目に合わなきゃいけないの」
おそらく今回の検査参加者で最高齢であろう女性は、そう何回も繰り返している。
姿勢は綺麗で足取りも言葉もしっかりした、とても元気な女性だった。

「わたしはどこのだんなも盗ってないのに!ひどい!」
姉御の中のわるいこととはよそのだんなを盗ることらしい。
わるいことの中身が艶っぽい。肺に病気があり、今回の検査以外
にも色々検査を受けているらしい。姉御はなおも潔白を叫んでいる。

なにもわるいことしてないのに。
なにもわるいことをしているわけではないのに、理不尽なことが降りかかってくることってなんなのか。

お昼になる。どうにか検査を受けれる状態になった母から、昼食の時間をもらう。麻酔をかけて内視鏡検査をする段階になったら、本当にできることはない。

散々排泄だのなんだのと見たり聞いたりしていたので、昼ごはんなんか摂る気にならないだろうなと思っていた。

 

 

普通にお腹がすいた。

 


体って、食物をとることに関してちゃんと現金にできている。生きぬくのが最優先課題だ。

店で食べたメニューには10%、検査を終えた母に買ったマフィンには8%の消費税がついている。レシートは10月になったことを教えていた。
検査室に戻るとちょうど、内視鏡検査を終えた母がストレッチャーで処置室に運び込まれたところだった。

 

 

麻酔はすぐ歩けるようになるわけじゃない
検査を終えた母が意識をはっきりさせるまで1時間がかかった。さらにそこから薬の効き目が切れて、ちゃんと歩けるようになるまで時間をかけなくてはいけなかった。歩様がしっかりしてからじゃないと転倒して怪我に繋がるので、引き渡せないとのこと。

つくづく看護師さんからは後光がさして見える。
仕事とはいえ、他人の排泄物を見続け、検査を受ける人にわかるように何度も説明をし、今度は麻酔から醒めた人の介助をしている。しかも他のことと同時並行で。本当にプロってすごい。

何度もお礼をして検査室を後にして、今日の大腸内視鏡検査は無事に終わった。
父の運転する車を待ちながら、母はマフィンを食べていた。もうすっかり陽が落ちていた。仕事はろくにできなかった。

 


食欲魔人爆誕
そして、ほぼ1日何も食べなかった母のリクエストはラーメンだった。
が、その頃になると、普通に2食摂っていたはずの私の食欲が爆発した。
呆れる両親の視線を感じつつ、肉うまにラーメン、半チャーハン、餃子3個、つけものを食べる。

大腸内視鏡検査という母親の戦いすんで日が暮れて娘という食欲魔人が爆誕したのである。

 


最後に
どこにでもあるかもしれない、大腸内視鏡検査の1日を書いてみました。
同じ検査でも病院ごとに微妙に違ったりします。今回なら、時間をかけてニフレックを飲むよう指示がありましたが、昨年受けた病院ではまた違った指示でした。

そして検査を受ける側も人によって抱えていることもまったく違う。それでも毎日が続いていきます。
今日もよい1日をお過ごしください。

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