【つれづれショート】雨の日のきゃっきゃうふふ

過去投稿分(2016年12月~2023年12月)
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傘がない。

そのことに気づいたのは、会社から帰るときのことだった。

置き傘がなくなっていた。

外を見ればアスファルトは濡れているし、灰色の雲が広がる中からちらりと月が覗いている。

まだ天気は油断できない。

なくなったのがせめて晴れの日だったらよかったのに。でも快晴の日に傘を持って歩いている人がいたら、それはそれでちがうような気がする。常夏の海のダウンジャケットとか。

仕方ないと諦め、その日は丸の内に用事があったので東京駅に向かった。

 

東京駅についた頃にはパラパラと降っている程度だった雨も、用事を済ませ帰るころには本降りになっている。

 

 

グーグル先生に教わりながら歩く向こうから、私同様に濡れ鼠のカップルが信号を渡って来る。

グレーのペアパーカーを着た男女は雨に濡れながらもなんだか楽しそうだった。

それもそうか。

季節はもう年末にまっしぐら。丸の内は早くもイルミネーションが眩しい。

 

「おなごのきゃっきゃうふふっていいですよね」

 

以前に哲学科卒の青年が呟いたセリフが思い出された。

 

そうだね。

 

このきゃっきゃっうふふはTwitterなら140文字で彼女の目線の呟きになり、Instagramなら自撮りの写真と共にリア充投稿に変わり、ブログを書いていたら絵文字が沢山入った桃色のポエムに変わるのかもしれないね。

 

私は寂しいのだろうか。

うん、寂しいにちがいない。

 

それよりも、最初にSNSの投稿先を分析するのではなくて、まず私は寂しいにちがいないの方に思いを走らせたい。

 

やけに足元が冷たいとおもったら、スニーカーの靴底が摩りきれており、そこから雨が染み込んでいたようだ。

 

イルミネーション、丸の内、カップル、穴のあいたスニーカーに濡れ鼠。

 

来る場所を完璧に間違えている。

 

ようやく駅に着いた頃には頭はぐっしょり濡れていた。そして東京駅に向かっていたのに有楽町駅についてしまった。

 

場所も間違えたが、帰る駅も間違えた。

 

帰宅するとベランダではバスタオルもジーンズも雨に降られてずいぶん重くなっていた。洗濯物干しっぱなしだった。

 

最初から最後まで雨かい。

 

なんだか、おかしくて笑ってしまった。

 

今日は確かにいろんなことが降られっぱなしだった。普通ならなんてついてない日ってなるんだろう。でも、こうまで徹底してるんだから、それもそれでいいやって思う。そういう日もあるよね。それもたまには面白いのかもしれないよって。

 

素敵な一日を♪♪

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