本日は満月。
電車の中から登り始めたばかりの月を見た。
雲のない夜空に浮かび、ちょっとビルの高さを追い越したところにいる。
まん丸で黄色くとても嬉しそうだった。
いや、嬉しかったのは私のほうだ。
いろんなことが頭の中をぐるぐる行ったり来たりしていた。
「こんな美しい満月を見られたのだから、十分だ。ままならなくても良しとしよう」
そう思えて嬉しくなった。
あんまり嬉しくなったのでポエムをメモに書きつける。
気がついたら、電車は最寄駅には行かない路線を走っていた。
ポエム書きに夢中になっていて、降りる駅を逃してしまったようだ。
家族に電話した。
今日は夕飯を作るはずだった。
このパターンはこの間もやらかしたばかりだ。
ふと見上げる。満月はさっきよりずっと高いところに登っていた。
「やあねえ」
なんだかコロコロと笑っているように見える。
もう全体的にダメダメである。
それでも、月がこんなに美しいなら良しとしよう。
本日は満月なり。